SAV-0003 「スシスキ村」
危険レベル : カスタード
収容手順
異常現象SAV-0003に指定される区域への立ち入りは管理者の許可を得た上で行われます。現在停止されています。
エリア上空への一般航空機及び飛行機器の侵入を防ぎ、区域内の視覚情報の流出を防いでください。自治体などの外部からの情報提供の要請には虚偽のデータが使用されます。
説明
SAV-0003は■■県山間部、███市と██市の境界線上に存在する半径800m程の区域です。区域内は未整備林地帯となっており、平坦な土地であるもののこれまで人が住んだ記録は残されていません。
この区域内を何らかの手段により映像記録として観測した場合、または目視で確認した場合、そこには現実のSAV-0003とは異なる光景が映し出されます。これをSAV-0003-Aと指定します。
SAV-0003-Aは外見上寂れた小規模山間集落であるように見え、区域正面を通る未舗装道路と、その片側に沿って並ぶ古式の日本家屋の形態を成した家屋群が観測されています。SAV-0003-Aの光景は実際の気候や時間帯に依らず、常時12月04日の昼間とみられる環境を維持していると考えられます。
SAV-0003-A内部には、行動能力を持った人型の実体(SAV-0003-1と指定)が存在します。
SAV-0003-1は現在約400体の存在が確認されており、それぞれが特徴的な外見をしていますが、現在これらの人物の特定には至っていません。
SAV-0003-1との意思疎通は、映像機器による撮影時に使用者が口頭で発話する事により、録音音声を仲介して行う事が可能です。SAV-0003-1はこちらからのコンタクトには友好的に応じるものの、自発的に探索者への接触を行う事はありません。
アーカイブ
202■/06/■■
オペレーター望月氏主導の下、SAV-0003に対する小規模な調査が進められる。
調査員(S-03256)にビデオカメラを所持させ、映像・音声をリアルタイムで視聴させる。オペレーターの指示は通信機により行われた。以下はその記録である。
望月：それではカメラを構えて記録を開始してください。
S-03256: 了解...ってこんな山奥にほんとに村なんかあるんですかね。
望月： 撮影を続けてください。
S-03256: はいはい。
(中略)
S-03256: 着きました。たくさん...ってほどではないけど、いくつか店があります。”■■寿司”、こっちは”靴屋■■”。山奥なのに寿司っていうのもかなり不気味ですね。周りには何人か歩いてる人がいます。
望月：彼らはあなたに何らかの反応を示していますか？
S-03256: いえ何も。なんだったら声かけてきたりしてみますか？
望月：まだ結構です。そのまま探索を進めてください。
S-03256: 了解...っとオペレーターさん、大通りに出たみたいです。奥の方には神社...っぽい建物があって、お祭りなのかな 出店も多く並んでます。入口の鳥居の下にはいくつか看板が置いてありますね。
えっと...「ようこそ1772年」「新生■■村のあんこ祭」....あと、あちらこちらに「誕生おめでとう」と書いてあります。なにかの誕生を祝うお祭りなんでしょうか？ あれ、奥の方に結構な数の人がいます。
望月： それは興味深い。それでは、SAV-0003-1との接触に入ってください。
S-03256: 了解。じゃあ..そこのおばあさん。
SAV-0003-01: え？あぁ、おめでとうございます。
S-03256: へ？あぁ、はい おめでとうございます。
SAV-0003-01: おめぇさん、ここらじゃ見ない顔だねぇ....麓んとこから来たんかぇ？
S-03256: まぁ...はい、そんなとこです。ところで質問なんですけど、これはどういうお祭りなんですか？
SAV-0003-01: この祭りかい？この祭りはねぇ、あんこ祭りって言ってねぇ この村の名産物の小豆の豊作を神様にお祈りする3年前からやってるお祭りだよ。
S-03256: なるほど...そんな背景があったんですね。それではなぜ3年前から始まったのですか？
SAV-0003-01: おぉーん、詳しいことはおらよくわかんねぇからよぉ、あそこにいる嬢ちゃんに聞いてくれや。
S-03256: 嬢ちゃん?あっ...。
(S-03256が女子児童の姿をしたSAV-0003-01を発見する)
S-03256: オペレーターさん。
望月：はい、接触を試みてください。
SAV-0003-01: ところでおめぇさん。一つ聞きたいことがあるんだ。
S-03256: え？なんですか？
SAV-0003-01: おめぇさん、”モデレーター”かい？
S-03256: もで...えっ？なんですか？わ、わたしは”もでれーたー”では...ちょっ、どうします望月さｎ
(突如映像が乱れ、状況が確認できなくなる)
望月：S-03256、応答してください。
S-03256: (聞き取り不可能)
望月：S-03256、応答してください。
S-03256: (聞き取り不可能な何者かの声)聞こえてますか、オペレーターさん。■■が....(聞き取り不可能なノイズ)助けてください、中に入ってきます。
望月：....S-03256、何が入ってくるのですか？
S-03256: ■■■■■■。
(通信が終了しました)
終了報告書： S-03256は翌日、麓の■■谷付近で発見。まもなく確保されました。検査の結果身体的異常はありませんでしたが、精神面に本件が起因とされる錯乱と幻聴、幻覚と考えられる症状が見られました。記録のためS-03256の様子を機器により撮影したところ、小麦粉からなる生地にあんこを入れ円筒形ないし分厚い円盤状に焼成した和菓子の姿をした存在(SAV-0003-02と指定)が、その口に「入り込もうとするように」している様子が映し出されました。未知のミーム的影響を考慮し、S-03256は閉鎖的空間にて数日観察した後廃棄しました。
202■/07/■■
複数の調査員を用いたSAV-0003内追調査が行われましたが、前探査時とは異なり、SAV-0003-02が撮影開始とともに調査員を知覚。調査員への接触が確認できたため、追調査は中断されました。
再開の程は未定です。
202■/08/■■
調査は再開されました。
調査員として、選ばれしもの(識別名:7-SU)が派遣されましたが、現在に至るまで具体的な報告はありません。
この記事は@Onyasaiによって書かれました。